No.31:遠い窓 / アルケミスト

 VR-C003 VOICE / CD 2004

昨年の楽器フェアパシフィコ横浜)に行ったとき、とあるブースのイベントステージで見かけたのが彼等との出会いです。(この日、別のイベントスペースで某○野楽器サウンドクルー吉祥寺店の店長にも、バッタリ会いましたが!)

アルケミストはボーカルで作詞担当の「こんやしょうたろう」とエレピで作曲担当の「井尻慶太」の2人組らしいのですが、その時のステージにはもうひとり、このアルバムのプロデューサでもあるボイスパーカッションの「渡辺悠」が加わっていました。

で、彼等のステージを見て、ひとつの新鮮さとふたつのインパクトを受けたんです。

新鮮さは、その演奏スタイル。
エレピとボイスパーカッションによる演奏ってのは初めて聞いたけれど、イメージ以上に音の厚みと音色の幅がある。特に、ハモネプブームで注目を浴びた声のリズムってのは、想像以上に柔軟性と多様性があるんだなぁってこと。

インパクトのひとつ目は、ボーカルのこんや君。
右手にマイクを持ってバラードを熱唱し、サビの盛り上がる部分で左手を前に掲げた・・・
????・・・・肘から先が無い・・・
理由はわかりませんが、葛藤もあったろうし、詩にも投影されていることでしょう。
でも、そんなことにひと言も触れずに、明るく楽しいMCは好感が持てました。

インパクトのふたつ目は、リクエストコーナー。
といっても、既成曲のリクエストではなく、別々のお客さんから3つのお題をもらい、それをテーマにして即興で曲をつくりながら歌うというもの。
たしかこの時のお題は、「遠距離」「お母さん」「電話」だったかな?

まず、拍子とテンポを確認し、ボイスパーカッションがリズムを刻み始めるんですね。
次にエレピが循環フレーズを弾きはじめ、曲のイメージができたところで即興の歌詞を歌い始める。ある程度のパターンは持っているのだろうけれど、メンバーそれぞれが互いの展開を聴き、先を読みながら曲にしてゆくのはフリージャズのセッションのようでした。詩として組めるのかな?と思って聞いていたけれど、私が頭を抱えてつくる詩よりも十分以上にステキな展開で、オチまで付いた内容には感心しましたわ。
レベルは違えども、同じようにライブを行う者として、彼等のパフォーマンスは強く印象に残ってます。

さて、そんな彼等にとって、このアルバムは2枚目になります。
いわゆるインディーズで、街中のCDショップでは売ってません。
彼等の公式サイトもしくはライブ会場での購入となりますが、最近になってJR東日本管内のターミナル駅構内のCDショップで手に入るようになりました。
最初のアルバムは何だか思い入れが強すぎる感じを受けましたが、2枚目になって少し方の力が抜けたようです。

南町田やお台場等で彼等の無料ライブが多く行われていますので、機会があったら覗いてみてください。きっと、お題リクエストもやっていることでしょう。(スケジュールは公式サイトを参照下さい)