No.66: Radio mali / ali farka toure

 WORLD CIRCUIT WPCR-19025 / CD 1999

30年位前でしょうか?、アフリカの音楽が注目された時期がありました(個人的にそう感じていただけかもしれませんが・・・)

でもそれは、ジャンルとしての確率ではなく、特にリズムに関して、こちらの音楽にどう取り入れようか!という感じのアプローチだったと思います。それを是々非々する気はありませんが、結局私には、この地の音楽の本質が見えずじまいで、何となく消化不良。

このアルバムを入手したのは発売間もない10年程前。
「アリ・ファルカ・トゥーレ」 西アフリカに位置するマリ共和国の有名なミュージシャン・・・国民栄誉賞を授与されているし、日本を含むワールドツアーも行っているらしい!

で、先入観に基づく勝手なイメージで、サバンナに響き渡る勇壮なリズムが流れてくるのかな?と思いながら聞き始めたら・・・・これがまったく違う。

若干のパーカッションが刻む単調なリズムに乗せ、オリジナル曲をギターで弾き語るスタイル。そのギターの音は、えっ、シタール??って感じで中東的雰囲気。

エッ!っと思って、ちょっと調べてみたら、この国の人々はほとんどがイスラム教。なるほど、かつてイスラム圏に旅行した時、祈りの時間に聞こえてきたあの音だ!(納得
このアルバムでは6弦ギターを重ね録りしてしているけど、この地でポピュラーなギターは「ンジャルカ」という一弦ギター、そして「ンゴニ」という4弦リュート(ちなみに、彼が最初にマスターしたンジャルカギターはライクーダーに贈られたそうだ)

そんな錯誤はあったけど、この音楽に注目したのは強く感じたメッセージ性!
何故だろう、と思って注目したのが歌詞(訳詞)。ソンガイ語やペウル語という民族言語で歌われているその詞は、この国をつくるのに汗を流した人々のこと、働くことの意味、労働の鼓舞、そして若干のラブメッセージ。

1939年生まれの彼が演奏活動を始めたのは1960年頃。そして、フランス領だったこの国が独立したのも1960年で、その後は軍事態勢が続き、ようやく内政が安定したのは10数年前。いわゆるラブソングを取り上げるような環境ではなく、どこかの国では腫れ物のようになっているナショナリズムを歌う方が、聞き手に対しては自然なメッセージとなるのかもしれないね。愛や恋よりも、今日の食い扶持、明日生きるために行動すること、しかしどうやって行動するのか?ってことの方が重要、つまり切実。

収録曲の何曲かはイスラム的雰囲気よりも、いわゆるブルース!、歌もギターも当にね!!
そんな感じで、ああ、音楽ってのはこうして生まれて繋がってきているのか、と思わせてくれる気がするんだ。

 

 

んっ、マリ共和国って何処?、って方はどうぞご自身でお調べ下さい(笑