No.4:THE TWO OF US / Ramsey Lewis & Nancy Wilson

 CBS SONY 32DP 184 / CD 1984

1982年、ソニーからCDプレーヤーが発売され、音楽ソフトはアナログからデジタルへの移行が始まったけれど、そのプレーヤーは確か定価が20万円近くもして、興味はあれど、若かりし私にはとてもじゃないけれど手が出ない。

それから数年し、私の給料も少し増えた頃、CDプレーヤの定価がようやく10万円を下回るようになり、それまで指をくわえて眺めていた私も、ついにエイヤ!とプレーヤーを購入。そして、その時一緒に買った数枚のCDのひとつがこのアルバムです。
(ちなみに、当時使っていたアンプにはCD用の入力端子がなくて、AUX端子だったか、何か別の端子に接続した記憶がある)

おりしも世間は第二次ディスコブーム(第一次はサタディナイトフィバーの頃?)で、打ち込みとシンセで創る「ユーロビート」のリズムをベースにした曲が溢れていた。
私とはいえば、いつしか「フュージョン」と呼ばれるようになった「クロスオーバー」系のミュージシャンをよく聴いていて、「オーケストラ」や「フォーク」系のアルバムと棚の占有率を争っていましたっけ。

さて、このアルバム。
興味は女性ジャズボーカリストの大御所との競演で、当に「クロスオーバー」なコンセプト。それに、プロデューサーがバリバリのベーシスト、スタンリークラークというのも面白い。

一時、シンセを模索していたラムゼイも、このアルバムでは原点に戻って、全曲‘スタンウェイ・コンサート・グランド’を弾きまくっている。俗にいうブラック系で、リズムも当時流行りの基調だけれど、ビートがきつすぎることもないし、全体にまろやかな音色なので、BGMにも使える。いわば“アコースティック・ポピュラー・ブラック”とでも表現するのだろうか?。

意表を突かれるのは、1曲目に女性の声で、日本語ナレーションが被せられていること。
効果音的な使い方なのだろけれど、「あれ、ナンシーは何処?」って感じの肩すかし。
で、ナンシーは2曲目から登場。さすがな歌声で、ジャズを歌うときとは別の魅力を醸し出してます。

今も「異種調和」ものを良く聴くけれど、この当時からそうだったんだ、と改めて認識。