No.6:スウィートボックス / SWEETBOX

 BMG BVCP-6111 / CD 1998

このアルバムが発売されてからしばらくの間、土曜日の早朝、FM横浜の海情報番組で毎週のように流れていた曲が「EVERYTHING'S GONNA BE ALRIGHT」でした。
そして、その曲をすっかり気に入ってしまい、買ったのがこのアルバムです。

SWEETBOXは、作曲&プロデュース担当のGEOとラッパー&ボーカリストで作詞担当のティナ・ハリスによるユニット。このアルバムに出会うまで、私はこのミュージシャンの存在を知らなかったので、以下はCDのクレジットからの受け売りをアレンジしたもの。

ヨーロッパのダンスミュージック界のプロデューサー、GEOが自らのダンスプロジェクとして、95年に立ち上げたのがSWEETBOX。97年になってティナが加入し、彼女のラップを前面に押し出すとともにクラッシックの名曲と融合させることで、新たなムーブメントとして注目されだした「ラップ・ミーツ・クラッシック(ラップとクラシックの出会い)」の潮流に乗り込み、ヨーロッパで大ヒットを生み出した。

まあ、ざっとこんな感じなんですが、
このアルバムの収録曲で、クラシック曲がベースとなっているのは次の3曲。

まずはオープニング。いきなり私の大好きなマーラー交響曲第5番の第4楽章が流れ始める。映画「ベニスに死す」でも使われた美しい旋律は、交響曲第9番の4楽章と同じく、マーラー好きには鳥肌もののアダージョで、そこにティナの語り(歌じゃないところがセンス良い)が艶っぽく語りかけてくる。

それに続く2曲目は「アルビノーニアダージョ」をベースにしたヒップホップで、オーケストラ演奏にゴスペル・コーラス&ティナのボーカルを絡め、それをケンカさせずに融和させている。リズムはビートが効いているけれど、アダージョの旋律はシッカリと生きている。やりまするなあ。

そして8曲目、冒頭で紹介した「EVERYTHING'S GONNA BE ALRIGHT」は、バックトラックにバッハの「G線上のアリア」が流れる曲。サンプリングではなく、生オーケストラをバックにティナのしっとりとした歌が力強くて繊細なのだ。

バージョン違いを含めて全20曲もあるけれど、すべてが異なる雰囲気だし、ティナの歌も、ラップあり、ポップスぽいのあり、ソウルフルなのあり、バラードありと変化に富み、歌唱法も実に多彩でステキだ。
ラップからイメージしていたのは、やたら強調するビートに聞き取れない言葉、それにスクラッチだったけれど、このアルバムのおかげで、そんなのは一部なんだと理解できたような気になるね。

そんなGOODなアルバムなんだけれど、ティナは99年に脱退してしまいましたった。新たにジェイドというボーカリストが参加して、2001年に2ndアルバムをリリースしたけれど、どうも私にはシックリこなくて何ともザンネンなんだよなあ。
そんなところからして、きっと幻のアルバムになってしまうのでしょうね。