No.17:ARIGATO! / 広末涼子

 WARNER MUSIC WPCV-7413 / CD 1997

あれは確か95年後半から97年にかけて、通勤電車の愛読書「ヤングジャンプ」の表紙やグラビアを賑わしたボーイッシュな少女が気になった。じきに「広末涼子物語」なるものも掲載され、彼女が高知出身の高校生で、テレビに出ることに憧れて応募した「第1回クレアラシルぴかぴかフェイスコンテスト」のグランプリを獲得したこと、陸上部で走り高跳びの県大会上位入賞経験があること等を知り、意志の強いストレートな子だなあ、って印象を持った。

しばらくして、TVCM「DOCOMOのポケベル」(懐かしい言葉!)に登場した彼女は、女優志願と思っていたのに何故か、アイドル歌手になっていた。

アイドル歌手? ・・・・ちょっと違和感を感じつつも手にしたCDは、なんと豪華な作品が並んでいることか。

竹内まりやが4曲、岡本真夜が2曲、原由子が2曲、奥井香が1曲、彼女のために書き下ろした作品を提供しており、まだ駆け出しの頃のゴスペラーズがコーラスアレンジ&コーラス参加している曲なんかもある。正当派アイドル、というよりは本格派アイドルのような陣容。
まあ、このあたりの曲調が好きな方には、抵抗なく受け入れられる内容。

その後の彼女、様々な噂が飛び交い、度々ワイドショーのネタになっていたけれど、それは彼女を「清純派アイドル」として見るからであって、世間が一方的に作り上げた偶像に対し、これまた勝手にギャップを感じているからだけのこと、なんて思います。
彼女自身は女優として成長するため、それなりにもがいていたのでしょうね。まっすぐ突き進んでいる感じは、私が最初に受けた印象どおりです。(贔屓目の擁護論かもしれませんが)

ところで、歌手としての彼女、オリジナルアルバムはこれと2nd「Private」の2枚だけ。なのに、ベストアルバム、リミックスアルバム、全曲集がある。時間をかけてジックリと売るというよりも、手を変え品を変えて買わせようとする業界の姿勢が見え隠れする。CDが売れなくなって久しいけれど、音楽産業はこの頃すでにおかしくなっていたようですね。

偶像のアイドルは、先日の電撃的な結婚と妊娠によって伝説となるのでしょうか?。復帰するとコメントしているようですが、普通のお母さんになってしまうのもまた良し。まあ、何にせよ、幸せでいてほしいですね。