No.19:ライブ / 芸能山城組

 invitation VIH-4003〜4/ LP 1979

百聞は一見に如かず、という言葉があるが、それがあてはまる集団が「芸能山城組」であろう。彼等のステージを見たのは中学3年か高校1年の時。TV番組「題名のない音楽会」の公開収録でのことだっただろうか(このあたりあやふや)。当時、結成して数年目の彼等が演じたのは、バリ島に伝わる「ケチャ」。

「ケチャ」とは、その土地の呪術的習慣と古代ヒンズー教の叙事詞が結びついて完成されたものだそうで、上半身裸の男達が身体を揺らし、「チャッ、チャッ、チャッ」と発しながら壮大なリズムをつくりあげてゆく合唱舞踊劇である。

合唱といえば、一般には平均律音階によって構成されるハーモニーとなるが、彼等が発するハーモニーは1/f音の変化、いわゆる「こぶし」的なもので構成され、それが実に見事にコントロールされている。

ブルガリア、アジア、アフリカ、そして日本等の民族音楽、そして、それらをベースとしたオリジナル曲を演ずる彼等の合唱は、西洋の貴族階級が楽しんだ美しい響きの音楽とは異質な、地声による土着的な「魂の叫び」でもある。

このアルバムが発表されてしばらくしてから、シルクロードがブームになったのも、彼等のパフォーマンスが少なからずとも影響しているのだろうね。
はじめは「なんじゃあ〜」と思いつつも、祭り好きな私のどこかを揺さぶる声に、いつのまにか「血が騒ぐ〜」って状態にさせられてしまうようだ。
でも、演ずる彼等の目を見ていると、ちょっとイッちゃっている感じを受け、悪い表現で言えば、新興宗教的な匂いを感じることも確かなのだ。

毎年7月の末になると、新宿三井ビル55広場で「ケチャまつり」が開催されている。彼等のパフォーマンスを目にしてみたい方にはお勧めできるイベントです。

そうそう、余談になけれど、結婚前にカミさんと彼等のライブに行き、アンケートを書いたのだったかな? しばらくして、カミさんの実家にライブ予定の案内ハガキが届いた。
そのハガキを見たご両親。何だか組とかいう妙な組織から通知が来た!、娘が危ない所に関わってやしないかと、ちょっぴり心配させてしまったようだ。確かに、彼等をご存じない方には、マル暴的なネーミングに感じるかもしれないわな(笑)