No.24:虹伝説〜THE RAINBOW GOBLINS / 高中正義

 36MK9101-2 KITTY RECORDS / LP 1981

今思えば、当時、なぜ高中を聞こうと思ったのだろうか?
そんなことも思い出せないけれど、LP2枚組のアルバムのラストの曲「YOU CAN NEVER COME TO THIS PLACE」を聞き終えた時には、すっかり高中サウンドにはまっていた事実はのこっていますわ。 

高校に入り、フォークギターを初めてから2年程すると、エレキギターが欲しくなりまして、最初に買ったエレキというものが、グレコの335コピーモデル。これは、グレープの吉田雅美師匠がギブソンの335を使っていただけの理由なんですが、まあ、それで“さだ”もののリードなんかをコピーしてた訳です。でも、それと平行して、クロスオーバー〜フュージョン系も手当たりしだいの感じでけっこう聞いていましたっけ。

リー・リトナーラリー・カールトン渡辺香津美増尾好秋・・・、まあ、このあたりから聞き始めたのですが、彼等はどちらかというと演奏を聞かせるタイプ。オーケストラ→グレープ→フォーク系と変遷してきてメロディライン大切派でギター初心者の私には、まだまだどう弾いているのか想像もつかず難解な部分が多かった。そんなところに登場したのがこのアルバム。なんせ、1冊の絵本をモチーフに作曲したストーリー仕立ての14曲構成で、小鬼達(ゴブリン)が虹の向こうにあるという夢を探しに行く冒険をギターで表現する試み。曲と曲の間には英語のナレーションが入って、物語が展開してゆくというわかりやすさ。雷雨の後、壮大な虹が現れるラストのメロディ展開には感心してしまったさ。
オーケストラ曲で言えば、R・シュトラウスの「英雄の生涯」ってところだろうか(こっちの例えの方が分かり難いか)

このアルバムを語る上で外せないのが、1981年3月10日と11日に武道館で行われた「虹伝説ライブ」でしょう。アルバム収録曲をそのまま再現したライブで、私はこれをビデオで見て感激!。高中自身は7色にペイントしたオールバックの髪型(一部のギターも7色だった)に黄色いジャンプスーツで、ビジュアル的にはちょっとダサイのですけどね、やはり演奏は圧巻。特に「THUNDERSTORM」という曲、本人はもちろん、バックバンドも含めて全員がゴブリンの頭を被って演奏しているじゃないの!。自分の指先など見れない、というより楽器そのものが見えないんじゃないかという目隠し状態の演奏。この手のパフォーマンス、嫌いな人もいるでしょうが、私は好きなんだよなあ。DVDで再発されていますから、ぜひ見てみてくださいな。

高中は基本的に細かいフレーズに至るまで作曲するそうです。なので、ライブでのインプロビゼーション、いわゆるアドリブがほとんど無いので、そのあたりが好みの分かれるところでしょう。そして、後に気づいたことですが、以外とハードなピッキングとほとんど左手の小指を使わない。エレキ弾き始めにその弾き方を見た私、ピッキングが強いのも彼のせい?

このアルバムを聞いた後、せめて1曲位コピーしようかと思い立ったのですが、なんせ難しい。ピッキングハーモニクス多用やら、16ビートや32ビートの早弾きが延々と続くフレーズやら、6連ピッキングやら、弦飛びピッキングやら、どうやっても指が動かないポジション移動やら・・・、ようやく数小節ほど指が対応できてもニュアンスがまったく出せず。手がつりそうになるし、あ〜、どうしようって感じよ(涙)
ギターがYAMAHA SGじゃないからだ!、なんてのは全くの言い訳だけれど、つい言いたくなったりしてね・・・・SG-2000欲しかったなあ(笑)

高中の作品には、サディスティック・ミカバンド時代の名曲「黒船」をはじめ、ソロ活動後に発表した「TROPIC BIRDS」「READY TO FLY」「BLUE LAGOON」等、このアルバム以外にもスケール感のある曲が多くありますが、個人的には「伊豆甘夏納豆売り」がお気に入り、かな。

高中のギターは、泣くというよりも歌い上げる感じでしょうか、当時、多くのギター小僧がチャレンジしたけれど、指の運びはもちろん、ピッキングニュアンスまでを表現するためには、やはり精進、精進だア!!。まあ、今更だけどね。。。