No.25:さきよだ / TINGARA

 VICL60741 Victor / CD 2001

少し前、火星の大接近が話題になりました。
東京に住んでいると、夜空に見える星といえば“明けの明星”といわれる金星、それから冬の代表的星座であるオリオン座くらいしか認識できません。せいぜい風が強い快晴の日、ネオンの明かりがいつもより暗い時、もう少し星が散らばっているのがわかる程度です。

記憶として、初めて「天の川」を認識したのは19才の時だと思います。マウイ島のワイキキ海岸を見下ろす高台に1カ月ほど滞在したのですが、そこではプラネタリウム状態の夜空を見ることができました。漆黒の空全体に散りばめられた無数の星が、ある部分だけ密集して帯状になっている。そして、その帯を横切るように星がビュンビュンと流れてゆく。
「ああ〜、これがMilky Wayなんだ〜」「これが流れ星なんだ〜」と、宿の屋上にあるコインランドリーで洗濯しながら、毎晩のように星空を眺めていた。

ダイビングを始めてから、再びそんな星空に出会うことができました。
パラオでのナイトダイビング、海面から顔を出すと頭上360℃に星が降りそそいでます。
沖縄の慶良間の星空も・・・いや、ここでは毎晩、泡盛を飲んだくれていたっけ。

さて、「TINGARA」です。
沖縄出身の女性1人、男性2人のユニットで“てぃんがーら”と読みますが、漢字で書くと「天河原」となり、「天の川」を意味します。

「米盛つぐみ」は元「りんけんバンド」のキーボーディストですが、ここではマッタリとした心地よいボーカルを聞かせてくれますし、ほとんどの曲で作詞作曲を担当しています。
そして彼女をサポートする2人の男性は三線の「ゲレン大嶋」とサウンドプロデュースの「ヒデオ・イイジマ」で、サウンド的には打ち込みをベースとした音に三振とボーカルが乗るスタイル。

島唄の大御所の方々、今回の参院選比例区に立候補されている方、アクタースクールに代表されるポップス系の方々等、他の沖縄出身のミュージシャンとは異なり、とっても「癒し系」でゆったり、まったりな音で、私は大好きです。

新しいスタイルの島唄と言えばよいのでしょうか。いわゆる琉球音階(ドミファソシド)や八重山島唄に多い律音階(ドレミソラド)には拘らず、平均律音階(ドレミファソラシド)も含めて使い分けています。
サウンド的にはエンヤ系の印象にとれるかもしれませんし、曲によっては久石譲的でもありますが、その音階と詞は独自の世界を作り上げていて、なんか、南国の夜の砂浜にひとり寝っ転がって聞きたい雰囲気ですよ。そう、恋人同士で聞くよりも、ひとりが似合います。

  星月夜 寿夜
  南天のザクロ石
  願い事ひとつ叶えて

今度流れ星を見ることがあったら、何を願おうか。

なお、彼等のオフィシャルサイトのDiscoGraphy(more infomation)にて、アルバム収録曲のさわりを聞くことができますよ【RealPlayerです】。それと、どこかのサイトみたいに各メンバーの日記もあるし・・・