No.35:camomile blend / 藤田恵美

 Leafage PCCA 01938 / CD 2003

「るあ」で既存曲をカバー演奏する場合、楽器の構成、歌のキー、コーラスの対応等から、オリジナルを忠実に再現することはまず困難です。そこで、「どのようにアレンジするか」ということになるわけですが、オリジナルのアレンジイメージに囚われすぎると行き詰まってしまうことがあります。「るあ」はドラムレスですし、ベースレスの事も多いので、特にドラムやパーカッション等のリズムが強調された曲やシンセサイザーが何重もかぶるような曲に対しては、特に意識してメロディーラインから受けるイメージを大切にします。

プロミュージシャンも多くの人が有名曲をカバーしています。
その中にはオリジナルアレンジを崩してただ歌っているだけって感じの作品もありますが、すばらしいアレンジによってその曲の新たな魅力が引き出されているのも多くあります。
アンプラウドが注目されて久しいですが、バンドサウンドをアコースティックアレンジすることによって、楽曲の良さが一層引き立てられた曲も数多くあります。

このアルバムもそんなカバー集のひとつで、ビージーズ、ポリス、メアリー・ブラック、シンディ・ローパーリンダ・ロンシュタットサッチモビートルズ等の名曲がアコースティックアレンジにより歌われています。アルバムコンセプトが「心地好い眠り」だそうで、ノルウェーのミュージシャン達が奏でるアコースティックギターマンドリン、ピアノにフレットレスベースorコントラバス等が主体の心地よい サウンドで、当に癒し系。

先日のクリスマスライブで歌った「First of May」という曲、オリジナルはビージーズですが、このアルバムのカバーを聞いて自分もできそうだと思いました。それくらいシンプルです。
また、男性ボーカルの曲もカバーしており、それが全く違和感無く聞けるのがステキです。

自分が既存曲のカバーに取り組む場合、オリジナルを聞きコピーすることが大切なのはもちろんですが、このような良いカバーバージョンからヒントを得ることも多いのです。有名曲であれば、多くの優れたカバーバージョンがありますからね。

ちなみに、このアルバムは「ひまわりの詩」がヒットした夫婦ユニット「ル・クプル」の奥方のソロ・セカンドアルバムで、香港や台湾ではアルバムチャート1位になったそうです。
発売は2003年10月ですが、今年になって購入しましたので、2004年のマイベストアルバムです。