No.43:MERMAID BOULEVARD / KAZUMI & THE GENTLE THOUGHT

 ALFA RECORDS ALR-6001 / LP 1977

私の場合、ギタリストといえば、エレキ系のイメージが強いのです。
それはきっと、自分が最初に手にしたギターがアコースティックギターで、弾き語りスタイルのためと思う。つまりアコギは最初、伴奏楽器として自分の中で位置づけられたのですわ。

そんな頃、フュージョン系(当時はクロスオーバーと言われていました)の曲をFMやレコードで聞き始め、聴く音楽として好きになっていったんですね。エレクトリックギターのインストゥルメンタルが何ともステキで、このあたりのギターを弾いている人がいわゆるギタリストってなイメージになったみたいです。(今はもっと広くとらえていますけどね)

当時、よく聞いていたのは、リー・リトナーラリー・カールトン高中正義、野呂一正、渡辺香津美あたりでしょうか。

そんな頃、このアルバムが発表されました。
当時、24才の新進気鋭、渡辺香津美が、これまた人気沸騰中のリー・リトナー&ジェントルソウツをバックに弾きまくっている!。こりゃ、買うしかない(笑)

改めてこのアルバムを聞いて思うのは、香津美もリトナーもこの若さで、アンサンブル的感覚がいいなあ〜ってこと。先に名前をあげた人達の中でこのふたりは、そんな感覚が音色に出ている感じがします。自分の音を前面に出す時も全体のバランスを考え、バッキングに回ればこれまた上手い。そんなスタイルだから、いろんなミュージシャンと共演してもそつなくこなしてしまうってところがあって、幅も広い。悪くいえば、器用すぎてアクが少ない。
まっ、私はそんなスタイルが好きですが。

アルバム収録曲7曲の内、5曲が香津美の作曲です。渡辺香津美は18才でメジャーデビューしましたが、多くのアルバムをオリジナル曲主体でつくっていて、メロディメーカーとしても大したものです。ただ、代表曲は?、と問われると考えてしまう。リトナーは「キャプテンカリブ」と答えられるけれど、香津美は何だろう。。。

香津美はこのアルバムの2年後、坂本龍一矢野顕子村上秀一等と「キリンバンド」を結成したり、「イエロー・マジック・オーケストラ」のワールドツアーに参加したりしてます。
そんなこんなで幅を広げてきた彼、最近ではアコースティックギターのソロやクラシック作品の演奏等までこなし、2002年には何と「サイトウキネン・フィスティバル」(クラシックの大イベント)に出演したのにはビックリ!。フルオーケストラとのコラボレーションアルバムやら「ギター組曲」を作曲するやら、オイオイ、どこに行くんだ?、と気をもませておいて、この頃は再びエレクトリックに戻っている。
どんどん先に行く人だから、聞く側が 固定観念を持っていると、つかみ所のない感覚に陥ってしまうかもしれませんね。