No.62 : Stravinsky「春の祭典」 / 小澤征爾&シカゴ交響楽団

 RVC-2016 / LP 1976

この方の音楽に初めて接したのが1975年か76年頃。
当時、TV音楽番組「オーケストラがやってきた」の公開録画に行った時のこと。
ゲストだったこの方の世界に、瞬間的にやられてしまった(笑

そして、少ない小遣いを捻出して買ったのがこのLP。
でも、何でストラヴィンスキーの「ハルサイ」だったのだろう?
今となっては謎のままだけど(笑

約100年前に作られたこのバレエ曲は、変拍子リズムと複雑な音の重なりで構成。
現代音楽の複雑怪奇、意図不明さから比べれば綺麗な響きだけど、当時はそりゃ大革新の音!
初演の際は会場が奇声罵声、床の踏み鳴らしで音楽史に残る程の大混乱となったそうな。

まあ、そんな曲だから、このアルバムが出た頃になっても、指揮者が上手く振れなかったり、オーケストラも上手く演奏できなかったりしていたみたい(実際、‘違いの分かる指揮者’ が、どの部分を振っているか分からなくなり演奏を中断してしまった逸話があります)

最近は指揮も演奏も技術が上がったけど、イングリッシュホルンバスクラにソプラニーノクラリ、ピッコロトランペットにバストランペット、ワーグナーチューバ等、ちょっと特殊な楽器を使う上に(特殊楽器が売れる「ハルサイ特需」なる隠語を生んだとか)、管と打楽器だけで45人以上(これに弦パートが加わる)の大編成となることから、応援メンバーを頼まないと編成できないケースが多いので、オケの興行と運営に大きな負荷がかかる、そんな意味でも大変な曲なのですよ。

そりゃ〜近年は素晴らしい演奏と録音のディスクが多くなったけど、1968年録音のこの「ハルサイ」、
キレの良さとスピード感溢れる演奏でワクワクものでした!
手に入れたばかりのオーディオチェック用としても活躍、スピーカーの感覚や角度や敷物材質など、できるだけ良い再現性を求めてしょっちゅう鳴らしてましたっけ(笑

この曲はバレエ音楽なので、そんな映像を探したけど、ちょっと過激なものもあって(笑
長い曲だし、オケの映像も何ですから・・・1分37秒ばかり

春の祭典(一部)


ところで、小澤さんの指揮を酷評する著名評論家や自称音楽愛好家はたくさんいるけれど、その方たちの基準点はよき時代のヨーロッパの大指揮者たち。ベートーヴェンモーツアルトとは文化背景や歴史観が違から根っこは解釈できないだろうと、そんな物言いはそれこそ難癖(怒
確かに評価が分かれる要素はあるけれど、多くのスーパープレーヤーたちに慕われているし、欧米の聴衆には人気が高い。そして、ボストンシンフォニーの音楽監督を29年も努め、世界最高峰のウィーン国立歌劇場音楽監督に迎えられた事実は実に重い!。
ず〜っと試行錯誤しつつ、早朝の譜読みを欠かさず、誰のマネでもないスタンスを築き上げている。
複雑怪奇な長い曲も暗譜で指揮する、未だに少年のようなこの方の音楽が私は大好きですよ。

そして、やはりこの手の曲は得意ですね。
ガーシュウィン「Concerto in F」(一部)