No.63:OUR AMERICAN JOURNEY / Chanticleer

 Teldec Classics / CD WPCS-11500

中学3年も終わろうとしている頃、数合わせの助っ人で合唱コンクールに引っ張り出されたことがあった。その少し前、学内では運動系だったけど、学外活動では密かにブラバンに加わっていたことが知られたようで、町内の鼓笛隊パレードに駆り出されるし(楽器の構造上、行進の先頭だった・・笑)、楽器やるなら歌えるだろう!、という理由にならない理由でそのコンクールのバスパートに加わり公会堂のステージで中田喜直の合唱組曲を歌っていた。
でもまっ、それも良い思い出となっているので、たぶん、きっと、元々合唱は嫌いじゃなかったのかもしれない(笑

このことが関係しているのかどうかは分からないけれど・・・
いつしか聞くようになったコーラスグループが1978年にアメリカで結成された『シャンティクリア』(無理な展開か?・・笑)


このグループ、結成当初はルネサンス音楽を歌うことを目的としたので、中世教会における女人禁制の聖歌隊に基づいて男声合唱団としてスタートそうで、以来、男声12名の通称「声のオーケストラ」として今も活動を続けているけど、日本の知名度は?・・・ちょっと地味かな(笑

でもね、アメリカのクラシック系シーンでは唯一、フルタイムで活動するプロのアカペラ・コーラスなんだよね。そして、演奏会や録音の有無に関係なく、連邦政府カリフォルニア州からの助成&奨学金による収入が保証されているので、いわゆる「売れ線」を意識せずにレパートリーを広げることができるそうだ。
しかしね、冷静に考えてみれば、これって結構な重圧じゃないのかな?(その立場になってみないと分からないけどね・・笑)
実際、彼等はコンサートのステージを結ぶと、主に新作の反応を確かめるため、いつもロビーに直行し、お客さんに感想や意見を聞くようにしているらしい・・・・(スゲ〜)

そんなグループだからかな?、演奏会、放送局、作曲家などの要望でしょうね、レパートリーがどんどん広がり、今では実にバラエティに富んでいて、現代音楽やポピュラーソングまで手がけているし、黒人霊歌の伝統的唱法によって歌われるゴスペルやスピリチュアルは聞き手を圧倒するんだね(ということで、ジャンル分けはOtherにしました)

このアルバムは、そんな彼等が取り上げたアメリカンソング!・・・・というか、アメリ音楽史的な選曲で、合衆国が無かった17世紀の伝承歌から、フォスターにガーシュウィンらの大衆ものから現代作家までと、超幅が広い。
それもね、1曲目のフォスター「金髪のジェニー」からテンションアレンジ炸裂!、いやっ爆裂!(編曲がシンガーズ&リミテッドのリーダー、ジーン・ピュアリングですからね)
ドゥワップ、ソウル、ジャズ的な要素を散りばめているかと思えば、黒人霊歌や単旋律聖歌で厳粛に!
それも、本当に男性のみ??って感じるハイトーンな声質から重低音まで、当に声のオーケストラ。
これはね、ガチガチのクラシック歌唱&アレンジではなく、良質のポップスアルバムですな。

振り返ればね、彼等の幅広い音楽性のコーラスに触れられたおかげで、その後の多ジャンルかつ多くのコーラスグループや、多重録音によるコーラスが違和感なく聞けるようになったのかもしれないなぁ・・・それに、収録曲を聴いているとね、あの曲とかあの曲とかにつながっているよなぁ!なんて感じもしてね・・・感無量!(笑

唯ね、このアルバムでちょっと悔しいのが、再発版はボーナストラックとして、クリスマスソングが1曲増えているんだよ!!(笑

さてと、残念ながらこのアルバムの収録曲が見つからなかったのでクラシカルに、映像はフランツ・ビーブル作曲の「アヴェ・マリア」です。
クリスマス気分はも少し先、ちょっと気が早かったかな?(汗